2003年2月27日(木)実施
【講義の概要】
キーワード:種の多様性の維持/水産資源の永続的利用

1.有明海・八代海の生物と漁業 (PDFファイル/48kb)
2.干潟の食物連鎖と浄化作用 (PDFファイル/200kb)

  有明海と八代海は、共通の特徴を持った海域である。
  
共通した特徴としては、(1)閉鎖海域、(2)多量の栄養塩の存在、(3)漁業(魚貝類・海苔)が盛ん(生産性の高い海域)、(4)生物多様性が高い(特産種を含め、生物の種類が豊富)、(5)干満の差が激しい(潮流が早い)、(6)浮泥の存在、(7)黄海との共通性などが挙げられる。
  一方、
(1) 魚貝類の養殖が盛んであること、(2)特定河川(球磨川)の影響が強いことなどは、八代海にのみ見られる特徴である。本講義では、上記の特徴を踏まえて、有明海・八代海の生物と漁業の特徴と、共に悪化の道を進みつつある現状について解説した。

有明海・八代海の生物
本海域は元々黄海と繋がっていたため、黄海と共通した生物が見られる。例をあげると、ムツゴロウ・ワラスボ・ハラグクレチゴガニ・オオシャミセンガイなどである。しかし、これらの生物は一部を除き、大幅に個体数が減少しており、絶滅の危機にあるものも多い。

有明海・八代海の漁業
本海域は我が国では、瀬戸内海に並んで漁業生産性の高い海域であった。しかし、近年、魚貝類の激減や海苔の色落ち・不作で、漁民は生活基盤を失いつつある。特に、アサリ・ハマグリ・タイラギ・アゲマキといった貝類の減少は著しく、漁民は黄海からの輸入・蓄養で何とか生計を立てているのが現状である。

環境悪化の原因
このような魚貝類・海苔を始めとする生物減少の原因としてはいろいろ考えられるが、以下に列挙した事象が最も重要であろう。
  1. 海岸線の改変(埋立・防波堤の設置など)
  2. 栄養塩の増加(生活排水・農業排水・養殖など)
  3. 河川の浄化能力の低下
  4. 河川のダム建設(砂防ダムを含む)による流入土砂の減少
  5. 海砂採集
  6. 海苔養殖における酸処理剤の使用
  7. 農薬の流入
  8. 環境ホルモン(外因性内分泌攪乱物質)
  9. 魚貝類の乱獲
  10. 海苔の過剰生産